
理想の冷暖房&換気方式は全館空調?
「全館空調」や「床暖房」に興味がある方、多いと思います。今回は、冷暖房や換気のシステム選びについてお話します。
全館空調について
ここ数年、住宅業界では「全館空調」をセールスポイントにする住宅会社が増えています。全館空調とは、家全体を1つのシステムで冷暖房・換気を行う空調設備のことです。
エアコンを使って建物全体を空調する方法で、オフィスビルなどで普及が進み、そのシステムを住宅でも展開しはじめたのが現在の「全館空調」ブームではないかと思います。
なぜ今全館空調?
地域 | 1月の最低気温(平均) |
北海道千歳市 | ‐12.9℃ |
北海道恵庭市 | ‐12.8℃ |
寒さが厳しい千歳・恵庭エリアでもひと昔前は居間にストーブを一台置いて、まず居間を暖めるという局所暖房が主流でした。
しかしそれでは水回りや寝室、2階などは寒いため、セントラルヒーティングが普及しました。一か所で作った熱(温水など)をパイプを経由して各部屋に送り込み、パネルヒーターなどの放熱器で家を暖める方式です。
これにより、お風呂や脱衣所、寝室など家全体を暖房できるので、冬でも快適でヒートショック(急激な温度変化で血圧が変動し脳卒中や心筋梗塞などをおこす)のリスクが減りました。
ただしセントラルヒーティングの工事は、各部屋に放熱機を設置するコストなどに150万円くらいはかかりますし、家全体をくまなく暖めることができるので、暖房費が高くなるという課題はありました。
一方で、近年、寒冷地仕様エアコンの暖房能力は急激に進化しました。屋外の空気に含まれる熱を集め熱エネルギーとして使うヒートポンプという技術が省エネを可能にしたのです。
その結果、戸建て住宅に、セントラルヒーティングを導入するより、エアコンを1台か2台設置して、その空気を家じゅうに循環させたほうが、設置費用も、その後の光熱費も安く済む、メンテナンスも市販エアコンの修理だけで済むというメリット、冷房もできるというメリットもあるため近年、エアコンを使った全館空調が北海道でも普及が進んでいます。
ただし、全館空調は各社各様のシステムがあります。暖房能力が高い機械、ダクトを家じゅうに張り巡らせるといったシステム導入に200万円以上かかるものもあります。
「過剰暖房」とは?
家が寒い場合、対策としては
- 暖房機を増やす、暖房能力の高い暖房機に買い替える
- 家の断熱・気密性能を高める
- その両方を採用する
という選択肢があります。
1の場合は家は暖かくなりますが、暖房機の設置コストと、日々の暖房代が高くなります。断熱性能が低い場合、暖房エネルギーを浪費してしまい、家計にも地球環境にも負担がかかります。
2の場合、家は暖かくなりますし、暖房機の設置コストや暖房代は変わりませんが、断熱工事にお金がかかります。
3の場合は、暖房機の設置コストと、断熱工事両方のお金がかかります。ただし、日々の暖房代はさほど増えません。断熱気密性能が高いからです。断熱性能が高いのに、念のために、過剰な暖房を設置してしまっている状態です。
まとめ
断熱性能が高い住宅なら、家全体を少ない暖房・冷房エネルギーで適温にできますので、暖房設備の設置費や光熱費の負担は減らせますし快適です。家が寒い、光熱費が高い、結露やカビなどの問題に悩まされているという場合は、まず第1に断熱性能を高めるという選択肢をおすすめしたいと思います。
家を新築、あるいはリフォームする場合、断熱性能に不安があったり、たとえ十分な断熱性能の家であっても「心配だから暖房機は十分に設置しておきたい」とお考えになる建て主さまは多いと思います。
全館空調や全室床暖房、エアコンも数多く設置すれば断熱性能に関わらず、全室暖かくできます。しかも流行しているので顧客に注目していただけるメリットもあるかと思います。しかし皆さんには、断熱・気密性能が高い家なら、過剰な暖房設備は必要ないかもしれない、という視点も持っていただければ、建設コスト削減や省エネにつながるかもしれません。

生杉建設は、断熱気密に関しては何十年も断熱気密性能が長持ちする外張り断熱のSHS工法。暖房・冷房・換気については、床下にエアコンかパネルヒーターを設置し、自然換気で家じゅうに新鮮で適温の空気を送り込む方式を第1におすすめしています。
つまり高断熱高気密で冷暖房に必要なエネルギーを減らした上で、省エネ性能の高い暖房機を使い、家全体を自然の力で冷暖房と換気を行うことができて、快適性とコストを両立できるシステムをおすすめしています。
ですが生杉建設は自由設計の注文住宅を軸にしています。お客様のライフスタイルやご要望を踏まえ、住宅のデザインだけでなく、断熱、暖房、換気システムに至るまでお客様にメリットデメリットをお伝えし、一緒に最善の答えを見つけたいと思っております。