
千歳市の「水害」と「噴火」リスク|住まいの防災対策・生杉建設
2026年8月20日、千歳市内でも局地的大雨でアンダーパスの冠水などが発生。 千歳市で土地を探し、家を建てるなら、この地域ならではの「防災」の視点も欠かせません。
新千歳空港が近く子育て支援も手厚い千歳は、道内でも人気のまち。雪は比較的少なく、内陸のため、津波の心配もほとんどありません。
近年で見ても、大規模な水害や噴火に関しては、千歳市民の記憶にはさほど無いのではないかと思います。とはいえ、日本全国で毎年のように、災害発生リスクが少ないと思われていた地域でも大規模な災害が発生しています。

ここで改めて、千歳で家を建てて住む前に、災害のリスクと対策について考えたいポイントを検証します。今回は、千歳の水害と噴火についてです。
千歳市をリスクで「エリア別」に見る|土地選びの地図
千歳の防災を考えるとき、まずはハザードマップを元に、市内を大きく5つのゾーンに分けて傾向をつかむと、土地選びの軸ができます。

千歳市北側(上のオレンジ色の部分です)千歳川沿いの低地(市街地中心部〜下流)
市内最大の水害ゾーン。洪水と内水氾濫のリスクが高く、地盤(泥炭・火山灰)の弱さにも注意が要ります。千歳川の中下流部は広大な低平地で、地形的にほぼ2年に1回という頻度で水害に見舞われてきた歴史があります。千歳川沿いの低地ほど、深く・長く浸水する想定です。石狩川本川の水位が高いと、その影響(背水)で長時間・長い区間にわたって水位が下がらず、宅地や農地の雨水が川に流れ込めない内水氾濫を起こしやすい特性があります。ただし近年は河川改修が進み、当時のような心配は小さくなっていると思います。

千歳市南側:空港・基地の周辺(南部〜市街地の一部)……航空機騒音ゾーン。
この地域は水害のリスクは少ないですが、新千歳空港と航空自衛隊千歳基地が近く、区域によって音の程度が大きく変わります。

千歳市東側:東部の丘陵〜断層側(東千歳方面)
市の東側を石狩低地東縁断層帯が通り、地震の揺れに注意すべきエリアです。陸上自衛隊の駐屯地・演習場があり、訓練の音が届く場所もあります。

千歳市西側:段丘上の台地・高台(市街地の西〜北側)
相対的に水害リスクが低く、地盤も比較的安定しやすいゾーン。ただし騒音や断層からの距離は場所ごとに異なります。

支笏湖・西部の山側
樽前山の火山リスクの中心。大規模噴火の際は火砕流や泥流で避難が想定されるエリアで、土砂災害の警戒区域も含みます。住宅地というより自然環境・観光のゾーンです。山側・崖地では、がけ崩れ・土石流・地すべりの警戒区域が示されています。
水害(洪水・内水氾濫)のリスク
ひと昔前の千歳市は、2年に1回のペースで水害が発生する地域でした。近年でも、大きな水害はたびたび発生しています。
1975年に千歳川流域で約81km2が浸水。
1981年(56水害)には、千歳川流域で浸水約192㎞2、被害家屋約2,683戸 、総被害額267億円。
2004年には台風18号により多数の倒木・家屋被害。
2014年には北海道初の大雨特別警報が発表され、支笏湖地区を中心に土砂崩れや道路が崩落。
千歳の水害を語るうえで外せないのが、市街地を流れる千歳川です。川沿いの低地は浸水想定が大きく、川から離れていても低地では内水氾濫に油断できません。
土地選びでやること
千歳市ハザードマップで、候補地の浸水の深さ・土砂災害警戒区域を確認する。周辺より低い土地、昔は田んぼ・湿地・川跡だった土地は、地歴も合わせてチェックする。
家づくりで備えること
敷地の盛土(かさ上げ)や、基礎・玄関の高さの設定。敷地内の排水・雨水浸透の計画、道路との高低差。
樽前山の噴火リスク

1909年噴火の噴煙 (北海道大学附属図書館所蔵)
引用:千歳市ホームページ
支笏湖の南にそびえる樽前山は、約4万年前にできた支笏カルデラの南縁に位置する活火山です。約9,100年前に大きな噴火とともに誕生し、約2,500年前、そして1667年・1739年に大噴火、1909年の噴火で山頂に溶岩ドームが生まれ、最も新しい噴火は1981年でした。噴火の間隔は不規則で、次がいつかは予測できません。千歳市は想定を3段階で示しています。
レベル1|小噴火(1981年のような規模)
はっきりした前兆なく噴火し、山頂の溶岩ドームから噴煙が立ちのぼり、火口原に噴石が落ち、火山ガスが出るため登山が規制されます。風下にわずかな火山灰は降りますが、市街地では特に被害は出ないと想定され、長期化もしないとされています。
レベル2|中噴火(1909年のような規模)
山頂に火口が開いて噴煙を高く上げ、噴火が何度も繰り返し長期化します。千歳市街地への影響が具体的に想定されるのはこのレベルです。風下の市街地で火山灰が数センチ積もる可能性があり、降灰対策が生活の要になります。
レベル3|大噴火(1739年のような規模)
上空1万メートル以上に達する噴煙が噴き上がり、風下に大量の軽石が降り注ぎます。その後、高温の火砕流が全方位に流れ下り、支笏湖の南岸や苫小牧市側の山麓に到達。千歳市の支笏湖畔では避難が必要となり、多くの河川で泥流が発生します。ただし最近の研究では、近い将来にこの規模の噴火が起こる可能性は低いと見られています。
家づくりで現実的に効くのは「中噴火の降灰」対策です。灰が溜まりにくく、掃除・メンテナンスがしやすい屋根形状・雨樋。給気口のフィルターなど、室内に灰を入れにくい換気計画がポイントです。
よくある質問(FAQ)|千歳の水害・噴火
Q. 千歳市は災害が多いですか?
A. 津波や豪雪のリスクは道内でも比較的低い一方、千歳川の洪水・内水氾濫、樽前山の火山には注意が必要です。「災害の多い/少ない」より、エリアごとにリスクの種類が違うと捉えるのが実際的です(地震・騒音については次回のコラムで扱います)。
Q. 千歳市で津波の心配はありますか?
A. ほとんどありません。千歳は内陸に位置し、太平洋・日本海のいずれの海岸からも距離があるため、津波の影響は想定されていません。
Q. 川から離れた土地なら水害は大丈夫ですか?
A. 一概には言えません。川沿いの低地ほど浸水想定は大きくなりますが、川から離れていても、周囲より低い土地では雨水が集まる内水氾濫に注意が必要です。昔は田んぼ・湿地・川跡だった土地は、地歴も合わせて確認しておきましょう。
Q. 樽前山が噴火したら千歳の市街地はどうなりますか?
A. 1909年のような中規模噴火が起きた場合、風下の市街地で火山灰が数センチ積もる可能性があり、降灰対策が生活の要になります。支笏湖畔は火砕流・泥流や避難が想定されるエリアです。近い将来に大噴火が起こる可能性は低いと見られています。
Q. 千歳で土地を選ぶとき、災害面で何を確認すべき?
A. ①洪水・土砂災害ハザードマップ、②樽前山噴火ハザードマップ、③航空機の騒音区域図、この3つの確認と、④土地の地盤調査が基本です。可能なら時間帯を変えて現地の音や高低差も体感しておきましょう。
次回は、千歳の地震・地盤と航空機騒音、そして冬の暮らしへの備えについて詳しく見ていきます。








